貸主は、どんなに借家人が悪くて明け渡しに応じないときでも、自分で実力行使して借家人を建物から追い出すことはできません。これを、自力救済の禁止といいます。もっとも、得た判決を現実に実行できないのでは、意味がありません。このような場合に、相手方を判決に従わせるための手続きを、強制執行といいます。
強制執行を行うにあたっては、まず、判決が言い渡された裁判所において、執行文を付与してもらう必要があります。執行文とは、執行力の範囲を公証するもので、強制執行用の判決文のようなものです。次に、建物の所在地を管轄する裁判所に強制執行申立書を提出し、強制執行の申立てを行います。申立書には、執行文が付与された債務名義の正本、判決が借主に届いたことを証明する送達証明書等、必要書類を添付します。
申立てを行うと、執行官に建物や借家人の状況について説明し、明渡しの催告期日や、執行補助者についてなど、強制執行をスムーズに行うための打ち合わせを行います。その後、執行催告が行われます。執行官が借家人主に対して建物を明け渡すよう、催告をするものです。これは、原則、建物明渡しの強制執行の申立てがなされてから2週間以内に行われます。このとき、執行官は明渡しの断行日も決定します。借家人が催告に従わず、自分で退去しなかった場合には、この断行日に執行官が執行補助者や証人とともに対象の建物に赴き、家具や荷物を運び出すことで、強制的に借家人を退去させます。このとき運び出した家具や荷物は、執行官が指定する保管場所に一定期間保管され、その後売却または廃棄されます。
このような手続きを経て、建物明け渡しの強制執行が適法に完了します。強制執行の費用は、強制執行を申し立てた本人が用意することになります。
明渡しの裁判や強制執行の申立ては、大家さん個人でも行うことはできますが、少額訴訟などと比べ、正式な裁判は複雑で、費用も手間もかかります。また訴訟手続きも複雑で、解決(判決や和解)までに時間もかかります。大家さんに有利な結論を導くには、法律の専門家である弁護士の助けを借りることも手段の一つです。
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