借家人の家賃滞納は、大家さんにとって、賃貸借契約において最もといって良いほど身近な問題です。家賃を何カ月も滞納し、いくら催告して払ってもらえないとしても、裁判など法律に定めた手続きによらず、大家さんが実力行使で借主を追い出すことは、自力救済といって法律上禁止されています。
法律上、家賃を滞納した借家人を建物から退去させるためには、以下の手順を踏まなければなりません。まず、滞納家賃支払いの催告を行い、これに従わない場合には、家賃を滞納したままだと契約を解除する旨を借家人に伝えます。この場合、口頭やメールで催促するより、内容証明郵便で送付するのが効果的です。内容証明郵便は、裁判所での手続きを進める上で、確かな証拠になります。契約を解除する旨を借家人に伝えても家賃が支払われない場合は、契約解除の通知を内容証明郵便で送付します。これでも借家人が明渡しに応じない場合、明渡し訴訟など法的手段で退去・明渡しを求め、これにて勝訴判決を得た際には、裁判所から借家人に明渡し命令がなされます。さらに借家人がこれに従わない場合、強制執行により借家人を部屋から退去させることになります。
たしかに、法律の定める手続きは、解決までに時間も費用もかかります。しかし解決を急いで、勝手に部屋のカギを変えて追い出すなどの自力救済をすると、借家人から逆に訴えられてしまう可能性があります。法律上、借家人には、借りた貸家を占有し、それを使用収益する権利があるからです。もし、その占有を大家さんなど第三者から妨害されたり、奪われたりしたら、占有者である借家人は、妨害を排除したり、あるいは占有を回復し、かつ損害賠償を請求できることになります。また、大家さんが借家人に無断で部屋に入れば、住居侵入罪に問われる可能性がないともいえません。部屋の中の家財を壊したり、勝手に処分したりすれば、器物損壊罪や窃盗罪の刑事責任を問われる場合もあります。
このように安易に自力救済を行うと、借家人から損害賠償を請求されたり、刑事告訴されたりする可能性があるので、借家人を追い出すには必ず、示談、調停、判決などの法律上の手続きで行いましょう。
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